「貯蓄型保険」は効果的に貯金ができるのだろうかと気になっている方へ向けて、貯蓄型保険のメリット・デメリットをご紹介します。そもそも貯蓄型保険とは何か、その特徴や種類についても知っておきましょう。
この記事の内容
貯蓄型保険とは
そもそも保険とは、死亡や病気、ケガなど、万が一の事態が発生したときに備えるためのものです。たとえば病気で入院や手術が必要になった際には多額のお金が必要になり、そのときにある預貯金だけではなかなか対応できるものではありません。保険は基本的に加入したときから保障され、非常事態の際にはまとまったお金を受け取ることができます。契約者が少しずつ保険料を出しあい、保障が必要な人を助けるという相互扶助で成り立っているため、万が一のときには十分な保障を受け取れるようになっています。
そして保険には大きくわけて「掛け捨て型」と「貯蓄型」の2種類があります。
掛け捨て型保険は、保険の本来の目的ともいうべき「万が一の備え」に特化した保険です。何かあったときには保障がありますが、何ごともなく無事に過ごせたとしても払った保険料は戻ってきません。保障される期間が決まっている掛け捨て定期保険が代表的です。
これに対し貯蓄型保険は、万が一の保障に加え、一定の条件を満たしたときにお金を受け取れる「貯金の性質」を備えた保険です。資産形成やライフイベントへの準備という位置づけになります。100万円貯金を目指している方の中にも、貯蓄型保険をひとつの選択肢として検討している方がいるかもしれません。
貯蓄型保険のタイプ
貯蓄型保険は、次のようにいくつかのタイプがあります。
終身保険
被保険者が生存中、解約しない限りは保障が続き、亡くなった際や高度障害になった際に保険金が支払われます。また保険料の払い込み期間が過ぎた後に解約すると「解約返戻金」を受け取れます。
学資保険
子供の学費が大きくかかる時期に満期を設定し、満期保険金を入学金や授業料に充てるという保険です。契約者である親が死亡または高度障害になった際には保険料が免除されるという特約付きが多くなるため、子供の教育費を確実に貯めるための貯蓄型保険といえるでしょう。
養老保険
満期までの間に亡くなってしまったら残された家族が死亡保険金を受け取り、何ごともなく無事に過ごして満期を迎えると満期保険金を受け取れます。この満期保険金を老後のための貯金と考えることができます。
個人年金保険
その名のとおり自分(個人)のための年金です。60歳〜65歳になってから10年〜15年かけ、年金方式で保険金を受け取るタイプの保険です。年金総額が確定している確定年金保険や、運用成果によって年金総額が変わる変額年金保険などがあります。
貯蓄型保険のメリット
貯蓄型保険のメリットは、まずは、保険料が掛け捨てにならない点です。一般的な保険では、毎月支払う保険料が何ごともなければ掛け捨てになってしまうため、どこか損したような気持になる方は多いかもしれません。貯蓄型保険であれば保険料が掛け捨てにならず戻ってくるため、自分のお金を自分や家族のためにしっかり使える感覚になるでしょう。
次に、強制的にお金を貯めやすい点です。預金口座にお金があるとつい使ってしまう方でも、保険に加入すれば毎月必ず保険料として引き落としされます。解約しようと思っても、解約返戻金が低くなるなどの損を考えると思いとどまるでしょう。必要なのは保険に加入するときの手続きだけで、満期がくる頃にはまとまったお金が貯まっているというわけです。
また、生命保険料控除を利用して税金の還付を受けられます。会社員の方であれば会社に控除証明書を提出すると年末調整で控除してもらえますので、特に難しい手続きは必要ありません。ただし、5年未満の貯蓄型保険など、一部生命保険料控除の対象外となるものがあります。ご自身の加入する保険が控除の対象になるのかは契約前に確認しておきたいところです。
さらに、運用効果にも期待できます。満期までしっかり保険料を支払うと、支払った保険料よりも多くの保険金を受け取れることがあるからです。保険商品の内容にもよりますが、ごくわずかな利息しかつかない普通預金や定期預金に預けておくよりも、結果的に資産が増えることは少なくありません。保険料を支払う以外にすることはないため、資産運用の知識がなくてもお金を増やすことができます。投資商品と比較して保険は多くの方にとってなじみがある商品なので、気軽に運用を始められるでしょう。
貯蓄型保険のデメリット
貯蓄型保険は、掛け捨て型と比べて保険料が高い点がデメリットです。貯蓄型保険は自分が払った分が実質的に戻ってくる仕組みなので、一見すると損しないように見えますが、その分保険料が高額になりがちです。万が一の備えと貯蓄を兼ね備えるといっても、保険料が高いために生活を圧迫するのではあまり意味がありません。
一方、掛け捨て型保険は損をすると思われがちですが、少ない保険料で大きな保障を得られるという大きなメリットがあります。掛け捨て型であれば少ない保険料で高額の死亡保障を準備しやすく、「子供が成人するまで」「住宅ローンの支払いが終わるまで」など、一定期間に絞って保障を手厚くしておきたい方にも向いています。
ただし貯蓄型には低解約返戻金型終身保険という商品もあります。解約返戻金の額が少ない代わりに保険料が低いため、保険料の高さが気になる方にはよいかもしれません。
また、解約時期が早いと損する点もデメリットでしょう。貯蓄型保険は、加入から一定期間が経過すると支払った保険料より保険金が上回るケースが多いですが、一定期間が経つ前に解約すると、解約返戻金の額が払い込んだ保険料より減ってしまい、損をする可能性が高いです。いつから損をするのかは契約内容や払い込み期間によって異なりますが、10年などある程度長い期間になることが一般的です。今は十分払えると思う保険料でも、失業や会社の業績悪化などでいつ収入が減るかわかりませんので、あまり無理のない範囲で保険料を設定することが大切です。
さらに、お金を増やす目的で貯蓄型保険に加入する場合、ほかの投資商品よりはリターンが少ない点もデメリットです。生命保険は基本的に資産を減らさないことに重点を置くため、安全性の高い国債を中心に運用します。国債は株や不動産などに比べて利回りが低いので、それほど大きなリターンには期待できないと知っておきましょう
貯蓄型保険が向いている人、向いていない人
貯蓄型保険が向いているのは、貯金が苦手な方です。これまで普通預金に入れておいてもすぐに引き出してしまい、なかなか貯金ができなかったのであれば、ほぼ強制的に貯金ができるため加入を検討してもよいでしょう。
また、普通預金や定期預金に入れておいてもマイナス金利の影響で利息が増えないのは嫌、かといって投資知識がなくリスクが怖いという方も、比較的安全に運用してもらえる点では検討の余地があります。
一方、貯蓄型保険が向いていない人もいます。まずは給与が少なく、生活がギリギリの方です。貯蓄型保険は一般的に保険料が高めなので、加入してもいずれ保険料が払えなくなり早期に解約するリスクがあります。そうなれば頑張って払った保険料が目減りしてしまいます。満期までしっかり払い続ける自信がないのなら、まずは保険料の低い掛け捨て型で万が一に備え、貯金は預金などで確実に増やすことをおすすめします。
また、今すぐは使わないお金があるが1円でも多く増やしたい方は、貯蓄型保険が必ずしもよいとは限りません。満期保険金が払い込み保険料を上回ることはありますが、わずかな利益にとどまることも多いため、運用という点ではほかの方法も含めて考えてみてもよいでしょう。
まとめ
万が一の備えと貯蓄性を兼ね備えた貯蓄型保険は、貯金が苦手な方でも貯めやすく、節税や運用効果といったメリットもあります。一方で、保険料が高めで解約のタイミングによっては損をするリスクがある点がデメリットです。向き不向きもあるため、ご自身の状況を踏まえ、またほかの貯金方法も含めて検討してみましょう。