なぜか給料が上がらない、同世代の給料を聞いて驚いた、なかなか出世しない…。
このような悩みを抱えていると、「自分に原因があるのでは?」と思い込んでしまいがち。
しかし、給料が上がらない理由は実力や評価だけではありません。
では、一体どのような理由が考えられるのでしょうか。給料を上げるコツや転職での注意点もあわせてご紹介します。
平均年収は業界によって差がある
現実として、平均年収が低い業界で働いている方は、どうしても周囲と比べて給料が劣りやすい傾向にあります。
勤務年数を重ねても給料が上がりにくく、「労働と対価が釣りあっていない」と不満を感じるケースも多いでしょう。
気になる平均年収は、四季報から知ることができます。
「19年度版就職四季報」では1113社が情報を開示しており、そのうちの41社の平均年収が1000万円以上という結果に。
しかも、このなかには一般職を含んだ年収を提示している企業も存在します。総合職だけで算出すれば、平均年収はさらに上がるでしょう。
このような高額の平均年収を誇っている企業を見ると、マスコミ・不動産・金融・総合商社が名を連ねています。
そのほとんどが大企業であり、誰もが知る有名企業ばかり。就職希望者も多く、人気の高さも頷けます。
そのなかでも上位に位置している企業のなかには、平均年収が1200万円を越えているところも。出世次第では、この額よりさらに多くの給料を得ることも可能でしょう。
もう少し 視野を広げると、上位285位以内にある企業の平均年収は800万円を越えています。ここに位置しているのは、建設やメーカー、運送業といった企業たち。
大手企業だけでなく、独自の技術などの強みを持っている中小企業も少なくありません。
あまり名の知れていない企業でも、業界によっては高収入を得られるチャンスがあるのです。
一方、平均年収が低い傾向にある業界も存在します。
なかでも目立つのは、サービス・小売・飲食店といった業界です。
「社員の平均年齢が若い」「離職率が高く、出世する前に多くの社員が辞めてしまう」などの理由もありますが、「ライバル会社が多い」「仕入れや材料費が高く人件費にしわ寄せがくる」といった特徴も影響しているのでしょう。
業界を問わず「1年ごとに昇給する」と定めている企業が多いものの、平均年収の低い業界では昇給金額が極端に設定されている、そもそも昇給の制度が存在しないといった可能性もあります。
このような業界に勤めている場合、勤続年数が長いのに給料が上がらないケースも珍しくありません。
「給料が上がらないのは、自分の能力が低いからだ」「努力が足りないのかも」と思い込む前に、自分が勤めている業界や企業の特徴を考え、場合によっては業種またぎの転職も視野に入れてみることが必要でしょう。
中小企業なら出世の枠が限られている
たとえ平均年収が高くない業界で働いていたとしても、出世次第では給料アップを目指せるはず。
基本給が低くても、役職手当によって給料が一気に増えるケースも多く見られます。
ところが、いつまで経っても出世できない、役職が変わらない…と悩んでいる人も少なくありません。
新入社員の頃からほとんど給料が変わらず、この先の昇給に期待できない人もいることでしょう。
ここで考えるべきポイントは、「そもそも出世できる環境であるのか」という点です。
とくに中小企業の場合、それぞれの役職に就ける人数に限りがあるため、出世しようにもできない状況も考えられます。
自分より上の役職の人が退職しない、かつ事業が拡大しないままだと、出世の枠が埋まっている可能性も。
同僚や先輩の出世状況をチェックし、自分が出世できる状態なのかを把握しておきましょう。
すでに出世枠が埋まっているのなら、なかなか給料が上がらないのも無理はありません。
出世以外の方法で給料を上げる手段を考えてみましょう。
会社の規則を確認すると、手当に関するさまざまなルールを知ることができます。
たとえば、営業職の方は営業手当の条件を見てみましょう。「1カ月の売り上げがいくら以上で手当てが発生する」などの基本的な内容だけでなく、「連続で目標達成すれば別途手当がある」「特定の時期や対象の商品に特別ボーナスが設定されている」といったルールが存在する場合があります。
ただし、固定残業代のなかに営業手当を含めている、役職が上がらないと営業手当が発生しないといったケースも少なくありません。
営業手当をもらったことのない方は、入社時に交わした契約内容や毎月の給料明細を見直してみましょう。
そのほか、特定の資格を持っていれば資格手当をもらえるケースもあります。
受験代や講習代を補助してくれる会社もあるので、制度を利用して積極的に挑戦してみるのもいいですね。
- 出世ポストが空いているか確認しよう
- 手当がどのくらい出るか確認しよう
- 資格を取って資格手当を手に入れよう
転職もひとつの手
このように、給料の幅は業界や会社の状況によって大きく変動します。
平均年収の低い業界で働いている、会社の出世枠がすでに埋まっているという方は、転職をするのもひとつの手。
今の仕事を続けながら転職活動をすれば、ほとんどリスクのない状態で給料アップのチャンスを得ることができます。
とはいえ、違う業界への転職は簡単なものではありません。
違う業界への転職を成功させるには、スキルを磨いておく必要があります。
今の自分が持っている知識やスキルを見直し、転職先で発揮できるものがないかを探してみましょう。
自分の実力を明確に伝えるため、新たな資格を取得しておくのもいいですね。
転職先の候補にしている業界でどのようなスキルが求められているのかを調べておき、事前に備えておきましょう。
ただし、転職をして必ず給料が上がるとは限りません。
念のため、住居手当の有無や福利厚生の内容にも目を通しておきましょう。とくに今の会社で家賃補助を受けている場合、一気に支出が上がってしまう可能性もあります。会社のサービスや団体で加入した保険などを利用している方は、転職に伴う支出の変化にも気を付けることが大切です。
また、持ち株や確定拠出型年金などの制度に加入している人は、退職の際に手続きが必要なケースが多いです。タイミングによっては損をしてしまう可能性もあるので、事前に確認しておくと安心でしょう。
転職には給料がアップする可能性が秘められていますが、反対に状況が悪化するリスクも潜んでいます。
「転職先の雰囲気が合わず精神的に辛い」「給料はあがったが残業が多い」など、金銭面が改善できたかわりに精神面や体力面のデメリットが発生することも珍しくありません。
転職を考えている方は、自分に合った会社であるかをしっかり検討したうえで応募しましょう。
- 自分のスキルを身に着けよう
- 得たスキルを整理して、面接官にも伝えられるようにしよう
- 業界を変えるなら、そのスキルが役立つか?を必ず確認
- 住宅手当や福利厚生は重要
- 転職先が自分にあった会社か?は給料よりも大事
まとめ
今回の内容を踏まえ、思うように給料が上がらない原因が分かった方も多いのではないでしょうか。
ここで大切なのは、会社の状況を理由に給料アップを諦めるのではなく、給料を上げる手段を考えることです。
今の会社のまま営業成績やスキルをアップさせて手当をもらうのか、平均年収が高い企業に転職して給料アップを狙うのか…。
それぞれのメリットとデメリットを踏まえたうえで、今後の方針を考えてみましょう。
ひとまず今の会社で資格取得や知識の習得に励み、自信がついたら転職活動を始めるのもいいですね。
自分の能力や給料の限界を決めつけてしまうと、将来のチャンスを逃してしまいます。
まずは今の状況や自分に足りていないものをリストアップし、これからの目標やスケジュールをリストアップしてみましょう。