収入のうち、具体的にいくらを貯金に回せば安心なのか、イメージがつきにくいものです。収入と貯金の最適なバランスをどのように考えればよいのでしょうか。貯金するべき割合は、一人暮らしや実家暮らし、未婚か独身かによっても変わりますので、ケース別にご紹介します。
この記事の内容
収入と貯金の最適なバランスはこう考えよう
貯金をするといっても、収入のどのくらいを貯金すれば安心なのか、そのバランスが分からないと感じる方もいるでしょう。まずは基本的な考え方をお伝えします。
会社勤めをしている場合、給料の2割ほどは税金や社会保険料で引かれますので、実際に銀行へ振り込まれた金額をもとに貯金する割合を考えることになります。一般的には、手取り収入の2割を貯金できれば合格ラインといわれます。しかしこれも、一人暮らしなのか実家暮らしなのか、あるいは結婚して子供がいるのかによっても変わります。後程ケース別に確認しましょう。
貯金する割合は多いほどよいと思われがちですが、それも今の生活が成り立ってこその話です。たとえば貯金の割合が多すぎて生活が苦しい、食費の切り詰めすぎで健康状態がよくない、節約のために誰とも交流しないのでは、本末転倒、アンバランスです。
貯金は生活を豊かにし、精神的なゆとりにもつながるはずのものです。しかし、バランスを間違えてしまい、ストレスが溜まり毎日つまらない日々を過ごすのでは、何のための貯金なのか分からなくなります。健康状態が悪くなれば医療費もかかってしまうため、結果的にお金はなくなります。
また毎月の貯金額が多くて余裕資金がないと、いざというときに慌てて貯金を切り崩すというパターンになりがちです。そうなると一生懸命貯金しているはずなのになぜか貯まらないという結果になってしまいます。
「今」を大切にしつつ貯金もする、これが最適なバランスの根本的な考え方です。
次項からは、ご自身がどのような環境におかれているのか、ケース別に収入と貯金の割合をご紹介します。
一人暮らしのケース
一人暮らしは家賃に食費、光熱費などがすべて自己負担となり本当にお金がかかるため、なかなか貯金ができない方も多いでしょう。しかし人生にリスクはつきものです。一人暮らしだとすぐに頼れる人がいない場合も多いため、病気やケガ、失業などで収入がなくなるリスクも考え、少しでもよいので貯金しておきたいところです。
目安は毎月の手取り収入のうち1割〜1.5割です。月の手取りが20万円であれば、2万〜3万円の計算です。同じケースで4万円貯金できれば手取りの2割にあたるため、一人暮らしの方の貯金バランスとしては優秀です。
実家暮らしのケース
親と同居しており、かつ単身者の場合は、今が貯金できるチャンスです。親にいくらか渡したとしても、家賃や光熱費などの負担が格段に違いますので、できるだけ多めに貯金しておく心構えが必要です。貯金の割合は手取り収入の3〜4割を目標にしましょう。
たとえば月の手取りが15万円でボーナスもない場合、一見するとなかなか貯金が難しいと思うかもしれませんが、手取りの4割にあたる6万円を貯金へ回し、親へは4万円を渡すことも可能です。この場合、ご自身は残りの5万円で生活しなくてはなりませんが、家賃も光熱費も食費もかからないとなれば、贅沢しない限りは十分に生活できる範囲です。
仮に収入が少なかったとしても、実家暮らしならしっかり貯金することが可能ですので、今のうちに100万円の貯金を達成しておきたいところです。
結婚して子供がいるケース
結婚しており、妻の妊娠中も含めて子供がいる場合、妻の休業や退職で世帯収入が減少するケースが多いでしょう。特に子供が乳児の時期を過ぎるまでは、あまり無理をして節約することはおすすめできません。子育て世帯において特に心身の負担が大きい妻が精神的に辛くなってしまうリスクがあるからです。貯金割合は少し緩めに設定し、1割貯金できればよしとしましょう。
とはいえ、まだ子供が小さいうちは自治体の支援を受けられ、教育費もさほどかかりませんので、将来の教育費も見越してできるだけ貯金しておく気持ちは大切です。「幼児教育・保育の無償化」も2019年10月からスタートしていますので、該当する世帯は貯めどきでもあります。
子供を保育施設等に預けられるようになってからの貯金割合は、世帯手取り収入の2割が目安です。妻が本格的に仕事復帰して余裕がでてきた場合は、無理のない範囲で3割を目指してもよいでしょう。
なお、子供がいない夫婦は、ここを逃したらもうないというくらい、最後にしてもっとも貯められる時期です。収入源が2本あるうえに家賃や光熱費などを2人で負担できるため、工夫次第で支出を抑えやすいからです。夫婦共働き世帯の場合、できれば夫婦の手取り収入の4割、少なくとも3割は貯金に回しましょう。
収入が少なく生活がギリギリの場合はどうすべき?
無駄遣いをしているわけでもないのに貯金が一切できない場合は、収入が低いという問題があります。特に非正規雇用の場合にはボーナスもなく、さらに一人暮らしであれば生活がギリギリというケースは少なくありません。しかし働き方改革の影響もあり、残業をして収入を増やすことは難しくなっています。この場合は、いくつかの選択肢があります。
まず、昨今では副業を解禁している企業がとても多いため、残業が減った分は副業をすることも考えてみましょう。月1割でも収入が増えれば、その分を貯金に回せて気持ちも楽になります。副業といっても短期のアルバイトからネットを使ったものまでさまざまな種類があるため、自分にあった方法を選ぶことが大切です。
副業する時間すらなく、収入を上げる術がない場合は、支出を抑える工夫が必要です。必ず手をつけるべきは固定費です。今より安い家賃の場所へ引っ越しをする、高すぎる生命保険を見直す、スマホを大手キャリアから格安スマホへ変えるなどの方法が考えられます。ほかにも、ギャンブルや浪費癖があるのなら改善することが大切です。収入にあった支出を意識しましょう。
実家を頼れる場合は、一時的に実家へ帰るのもひとつの方法です。社会人で親を頼るのは抵抗があるかもしれませんが、1〜2年と期限を設定し、その間に頑張って貯金額を増やしたり、収入のよい転職先を探したりするのも悪くありません。期間限定ならば家族の理解を得やすく、貯金や転職活動のモチベーションも上がりやすくなります。
ボーナスはいくら貯金すればよい?
貯金のスピードを加速させるには、ボーナスが大いに役立ちます。しかしボーナスがある場合でも月々の貯金とは別に扱うべきです。あくまでも給与のうち何割かを貯金することを基本としましょう。なぜならボーナスは景気や業績に左右される不安定なもので、あてにはならないからです。確実にもらえる給与をもとに貯金のバランスを考えておかないと、業績不振などでボーナスがカットされたときに貯金計画が狂ってしまいます。
もちろん、ボーナスが入った時点で、月々の貯金にプラスαとして貯金に回すのはよい方法です。ボーナスの額にもよりますが、少なくとも半分は貯金に回せると100万円貯金までの道のりはぐっと近づくでしょう。たとえば夏のボーナスが20万円、冬のボーナスが30万円の場合、年間で25万円も貯金できます。月々の貯金分とあわせると、1〜2年という短い期間で100万円貯金の達成も夢ではありません。
まとめ
収入に対する貯金の最適なバランスは一律ではなく、ご自身がおかれた状況によって変わってきます。ご紹介したどのケースに該当するのかを整理し、それぞれの状況にあった貯金割合を目指しましょう。場合によっては引っ越しや副業の開始など、今の環境を変えるための行動も必要となりますが、目標をもって貯金をすすめれば環境の変化も前向きに受け止められるのではないでしょうか。