貯金

不測の事態でお金を借りなければならなくなったら、どこから借りる?

どうしてもお金が必要なのに手持ちの現金や預貯金では足りない場合、どこから借金できるのでしょうか。借金とひとくちに言っても複数の場所があり、どこから借りるべきかは状況によっても異なります。借金先の種類別に、特徴や注意点をご紹介します。

本当に借金する必要があるのかを考えよう

給与が少なくギリギリの生活をしている中で急な出費が発生するなど、どうしてもお金が不足するときがあります。しかし、借金をしないと解決できない問題なのか、まずは冷静に考えることが大切です。

たとえば何らかの事情で家賃をすぐに払えなくなった場合、まずは大家さんや管理会社へ相談する方法があります。事情によっては支払いを待ってくれることもあるので、不用品の売却や週末だけのアルバイトなどでお金を稼いで対応することもできます。

また、定期預金や契約している保険を解約するなど、手持ちの現金や普通預金以外でお金を工面できるケースもあるでしょう。借金はあくまでも最後の手段として、ほかに方法がないのかを考えてみたうえで、どうしても借金する場合の選択肢を次項からご紹介します。

公的機関から借りる

公的機関ではさまざまな貸付事業を行っています。信頼性や安全性が高く、かなりの低利子か無利子で借りられるのがメリットでしょう。

たとえば「生活困窮者自立支援制度」は、国が実施する生活困窮者のための支援制度です。全国の相談窓口にいる専門の支援員が関係機関と連携し、自立に向けたサポートを行います。たとえば失業で住居を失った場合に一定期間の家賃援助を受けられる「住宅確保給付金」や、家計状況に応じた支援、貸付のあっせん等を行う「家計相談支援事業」などが実施されます。

また、上記の自立支援制度とも連携し、都道府県の社会福祉協議会が実施するのが「生活福祉資金貸付制度」です。低所得者世帯などを対象に必要にあわせた貸付が行われます。たとえば、滞納している公共料金等の立て替え費用、就職・転職を前提として技能習得に要する経費、敷金・礼金等、賃貸契約を結ぶために必要な経費など、さまざまな資金の種類があります。

銀行、信用金庫から借りる

お金を借りる先として真っ先に思い浮かぶのは銀行や信用金庫ではないでしょうか。身近な場所にあり、信用性も高いため、借りられるのであれば選びたいところです。金利は銀行等によって異なりますが、相場は3.5%〜14%程度と、全体的に消費者金融等と比較して低く設定されています。

銀行等と聞くと住宅ローンや教育ローンをイメージし、自分には関係ないと思われるかもしれませんが、これ以外にもフリーローンやカードローンなど目的を選ばないローンもあるため、使える方の幅は意外と広いです。

審査は厳しいですが、会社勤めをしていて年収が200万円以上あれば、審査に通る可能性は十分にあるといえるでしょう。ただし審査には時間もかかりますので、すぐにでもお金が必要な方には向いていません。

生命保険の契約者貸付を利用する

加入している生命保険の契約者貸付制度を利用すると、返済能力や担保の有無にかかわらずお金を借りられます。借金なので利子はつきますが、2〜8%ほどと、比較的低めに設定されています。ただし、解約返戻金を担保に貸してくれる仕組みのため、解約返戻金のある保険、一般に貯蓄型保険と呼ばれるものに加入していることが前提です。

もっとも、借金をしなければならないほどの事態であれば、貯蓄型保険を解約するという方法もあります。途中で解約した場合の解約返戻金は払い込み保険料の総額を下回ってしまう可能性が高いですが、そもそも今は貯蓄型保険に加入できる余裕がないと受け止め、余裕がでてきたら再度検討することも必要かもしれません。

勤務先から借りる

従業員貸付制度は福利厚生の一環として一部の会社で実施している制度です。意外に知られていませんが、特に大手や中堅の場合は制度が存在しているケースが少なくありませんので、まずは会社の総務課などに確認してみましょう。勤務先からの借金なので安心感がありますし、福利厚生なので金利もかなり低く抑えられています。

審査基準は勤務先独自のものとなり、金融機関などの基準とは異なります。従業員だから必ず借りられるわけではありませんが、正社員であれば3〜5年程度の勤続年数、非正規社員でも勤続年数が長く勤務態度や成績が良好などの条件がそろうと審査に通る可能性があります。貸付額の上限やそのほかの条件なども勤務先によって大きく異なります。

クレジットカードのキャッシング枠を利用する

ご自身が保有するクレジットカードに付帯の「キャッシング枠」を利用した借金の方法です。クレジットカードの申し込みをする際に付帯の有無や上限額を設定しているはずですので、キャッシング枠があればすぐにお金を借りられます。

キャッシング枠を付ける際に審査が行われているため、利用の際にあらためて審査を受ける必要はなくすぐに借りられるのがメリットです。提携の金融機関やコンビニのATMなどで普通預金を引き出す感覚で利用できるという手軽さもあります。ただし金利は15%〜18%と高く設定されているため、計画性がない方には向いていません。

 

消費者金融から借りる

消費者金融と聞くと怖いイメージがあるかもしれませんが、金融庁に登録し、個人に向けた融資を合法的に行う正規の金融機関です。いわゆる闇金融とは全く別ものだと思っておきましょう。テレビCMでよく見かけるような知名度の高い大手の消費者金融であれば、違法な取り立てなどしませんし、金利も法律の上限(借金額に応じて15%〜20%)を守っています。

消費者金融の場合は、30日などの一定期間無利息で借りられるなどのサービスを実施していることがあるため、早期に返せる目途がたっているのならメリットが大きいです。ただし金利は法律の上限ギリギリに設定されているケースが多いため、安易に借りると返済が大変になります。

家族や友人から借りる

業者や機関ではなく個人から借金する方法です。親や兄弟姉妹、親戚のほか、友人や同僚、知人から借りる方法が考えられます。個人から借りる場合、こちらの事情を考慮して利子や返済期限なしで貸してくれるケースがあるのはメリットでしょう。特に親や兄弟姉妹であれば心配して手を差し伸べてくれるかもしれませんので、身内を頼るのはひとつの方法です。

ただし、一見すると個人からの借金は「借りやすい」という印象を抱く方がいますが、実は注意も必要です。というのも、金融機関などの業者から借りる場合は貸金業法という法律が適用されるため限られた範囲での取り立てされませんが、貸金業法は個人に適用されません。つまり、借りた相手によっては過激な取り立てをされるリスクがあるのです。

法律面以外にも、お金の貸し借りは人間関係に悪影響を与える可能性があります。相手の好意に甘えた結果、悪い評判がたってしまい、周囲からの信用を失うことも考えられます。個人間でも必ず期限までに返すのはもちろん、借用書を作成するといった程度はしておいたほうがよいでしょう。

不測の事態でもこの借金方法はNG

生きていれば不測の事態は発生するものですが、この方法だけはNGというものがあります。まずは、いわゆる闇金融からの借金です。闇金融とは、貸金業の登録をしていないか、登録はしても違法な金利で貸し付けている違法業者を指します。

相手が闇金融かどうかは、金融庁のHPから「登録貸金業者情報検索サービス」を利用するか、最寄りの財務局で確認することができます。実在する業者を装う悪質業者もいますので、日本貸付業協会のHPにある「ヤミ金(悪質業者)の検索」もあわせて利用するとよいでしょう。

クレジットカードの現金化もやってはいけません。クレジットカードのショッピング枠を利用して商品を購入し、業者へ買い取ってもらうことで現金を手に入れる方法ですが、クレジット業界で禁止されている行為です。クレジットカード会社の規約違反として利用停止や解約、一括返済要求などを受ける可能性もあります。

そもそも購入額以上の価格で買い取りされることはないため金銭的に損をしていますし、悪質業者とかかわりあうことで犯罪に巻き込まれるリスクもあります。自治体のHP等でも注意喚起が行われていますのでやめましょう。

まとめ

借金をどこから借りるべきかは、ご自身の収入や状況、借りたい額などによって変わってきます。まずは借金以外の方法を検討し、それでも借金が必要な場合はよく計画を立ててから借金の申し入れをしましょう。不測の事態でも闇金融などには手を出さないよう、情報をしっかり集めて気をつけることも大切です。