節約術

いまさら聞けない失業手当のもらい方!【自己都合・会社都合で違いあり】

退職した際の心強い存在となるものといえば、やはり失業手当ですよね。

しかし、「どのように受け取るのかよく知らない…」という人も多いのではないでしょうか。

実は、失業手当のもらい方や金額、支給される期間などは人によって大きく異なるのです。

そこで今回は、いまさら聞けない失業手当に関するルールを詳しくご説明します!

失業保険とは

「失業保険」というのは、いわゆる「雇用保険」のことを指します。

その名の通り、失業して再就職するまでの間のお金を保障する保険のこと

これは、どのような理由で退職したとしても、条件を満たせは失業手当を受給できる仕組みになっています。

金銭的な不安が大きくなりやすい失業期間中にお金をもらえるというのは、非常にありがたいですね。

ただし、失業をした人全員が失業手当を受け取れるわけではありません。

受給資格としては、以下の3つの条件を満たす必要があります。

  • 就職する意思と能力がある
  • 求職活動をおこなっている
  • 過去2年間のうち、雇用保険の被保険者期間が12カ月以上ある

これらを満たしていれば失業手当が支給されますが、支給される期間や金額などは退職が「自己都合」か「会社都合」かによって異なります。

受給できる金額は、1日あたりの「基本手当日額」を算出することで求められます。

計算式は

賃金日額(退職前6ヶ月の賃金合計÷180)×給付率(50~80%)

となっており、賃金日額が高ければ高いほど給付率が低くなっていく仕組み。

実際に算出する方法はかなり複雑なので、正確な金額はハローワークで確認しておくと安心です。

また、基本手当日額は年齢ごとに上限額が設定されており、定期的に見直されるため、あわせて聞いておくといいでしょう。

自己都合と会社都合の違いって?

退職する理由は、「自己都合」と「会社都合」の2つに分類されます。

転職・起業による退職だけでなく、結婚・転居・介護・病気が原因の場合もすべて自己都合退職に当てはまります。

定年退職の方も自己都合となりますが、後述する3ヵ月の給付制限はありません。

ただし、やむを得ない事情により退職をした方は「特定理由離職者」と位置付けられます。「体力不足・心身障害などが原因で業務の遂行が困難」「両親などの扶養介護が必要となったため、家庭事情が急変した」といった個人的な事情のほか、「会社の人員整理による希望退職の募集に応じた」「有期雇用契約が満了したが、更新されなかった」といった事情も、特定理由離職者に該当します。

一方、倒産やリストラ、賃金の未払いなどの理由による退職は「会社都合」となります。周囲からのいじめやパワハラ、労働契約締結の内容と異なる労働条件だった場合も同様です。なお、問題を起こして懲戒処分になった場合は、「自己都合退職」として扱われるので注意してくださいね。

そして、どの理由で退職したとしても、失業手当がすぐに支給されるわけではありません。受給資格が認められてからの7日間は「待機期間」となっており、この間は手当がもらえない決まりになっているのです。

さらに自己都合かつ特定受給資格者でない場合は、待機期間に加えて3ヶ月の給付制限が設定されています。つまり、特定受給資格者以外の自己都合退職の方は、最短でも3カ月7日後からしか失業手当をもらうことができません。その期間の生活費は、自分でしっかり用意しておきましょう。

自己都合の場合

続いては、自己都合退職した場合の失業手当のもらい方をチェックしておきましょう。まずは、会社に「離職証明書」を発行してもらいます。記載内容に誤りがなければ、署名や捺印を行ないましょう。その後、離職日の翌日から10日間以内に「離職証明書」や添付書類をハローワークに提出する流れです。

数日後に会社から「雇用保険被保険者離職票」が送られてきたら、それをハローワークへ持っていきましょう。その際は、マイナンバーカードもしくは身元確認書類2種類、証明写真2枚、ネーム印以外の印鑑、本人名義の通帳やキャッシュカードなども必要です。

書類をすべて提出したら、求職の手続きもあわせて行ないましょう。失業手当は「求職活動をしていること」が前提のため、この手続きは必ず行う必要があります。その際に「雇用保険説明会」の日程を案内されるため、指定された日時に参加しましょう。

説明会に参加すると、「あなたの失業認定日は〇日だよ」と伝えられます。その日にハローワークへ行き、失業認定申告書を提出して失業の認定を受けましょう。

なお、失業手当の受給には4週間に1度の求職活動が必要です。その日から1週間ほどすると、指定の銀行口座に失業手当が振り込まれます。ただし、3ヶ月の給付制限があるため、それを過ぎてからの支給になるので注意しておきましょう。

会社都合の場合

会社都合による退職の場合も、自己都合退職と同じような流れで失業手当を受けることになります。ただし、自己都合退職とは違って給付制限がないため、7日間の待機期間が終わればすぐに受給できます。

なかには、「会社都合退職のはずが、会社側に自己都合退職扱いにされた…」というケースも珍しくありません。

実は、会社都合退職を出してしまうと、無料の求人媒体であるハローワークに求人票が出しづらくなるという会社側へのペナルティがあるのです。なので、「なんとか自己都合退職扱いにしてやろう」ともがいてくる会社が案外多いものです。

退職条件に納得できない場合はしっかり話し合うことが大切です。過剰な残業や給料の未払いなどがある方は、証拠を集めておきましょう。

職業訓練も活用しよう

失業手当を受給している求職者は、「公共職業訓練」を受けることができます。これは就職で役立つスキルを身に付けられるもので、目指している職業にあったコースがたくさん存在します。

この訓練を受講している方は、失業手当の給付が課程修了まで延長されるため、経済的な不安を感じることなく取り組めるのがポイント。さらに、テキスト代以外の費用はほとんど無料です。失業手当の残日数によっては給付が延長されないため、念のためハローワークに確認しておくといいでしょう。

再就職したらどうなる?

失業手当を受給している人が再就職した場合、「再就職手当」として一時金が支払われます。

金額は「支給残日数×給付率×基本手当日額」で算出され、給付率は支給残日数が3分の2以上なら70%、支給残日数3分の1以上なら60%となっています。ただし、再就職した仕事が安定している(1年以上の雇用が確実である)ことが条件になりますのでお気を付けください。

ここで、手当の受け取り方もあわせて確認しておきましょう。まず、採用が決まったらハローワークに報告し、再就職先で採用証明書を記入をしてもらいます。そして就職日前日に、採用証明書・失業認定申告書・雇用保険受給資格者証・再就職手当支給申請書・印鑑をもってハローワークへ行き、失業認定を受けます。

仕事が始まったら、会社に「再就職手当支給申請書」の事業主欄を記入してもらったあと、自分自身で「再就職手当支給申請書」の申請者欄を記入します。就職日の翌日から1ヶ月以内に申請しなければならないため、できるだけ早いうちに手続きを進めておくようにしましょう。

この再就職手当は、決定が認められた7日後までに指定の銀行口座に振り込まれます。

まとめ

失業手当には、受給条件や金額、支給される日数に関する多くの決まりがあります。これまでの勤務状況を確認し、ご自身がどの条件に当てはまるのかを確認しておきましょう。手当をもらうには数多くのステップが必要なため、できるだけ早く手続きをしておくと安心ですよ。

また、ハローワークでは就職をサポートするさまざまな制度も整っています。再就職手当や職業訓練の活用を視野に入れながら、自分に合った就職先を選んでくださいね。