定番の貯金方法である「定期預金」と、積極的にお金を増やす「投資信託」は、大きくわけて5つの違いがあります。
お金を貯めるには定期預金と投資信託のどちらがよいのか迷っている方に向けて、それぞれの違いや活用のポイントをご紹介します。
この記事の内容
定期預金と投資信託の概要
まずは定期預金と投資信託とは何かについて、それぞれ簡単に説明しましょう。
定期預金とは、満期までまとまった金額を預けることを条件に、優遇された金利が適用される預金をいいます。
一般に、普通預金よりも高い金利となり、満期時にはあらかじめ決められた利率にもとづく利息を受け取れます。
満期は金融機関によって2週間〜10年の設定になることが多いですが、途中解約は原則としてできません。
解約する場合は低い金利が適用される「ペナルティ」を課されることが多いです。
いっぽう、投資信託とは、投資家から集めた資金を、ファンドマネージャーと呼ばれるプロが運用する金融商品を指します。
投資信託の内容は国内外の株式や債券といった投資商品ですが、プロが運用するため、自分で市場や銘柄の分析、売買のタイミングなどを検討する必要がなく、初心者向けの金融商品といわれています。
- 定期預金は通常より高い金利がつく「預金」
- 投資信託は預金より非常に高い利回りがつく「投資」
定期預金と投資信託の違いは何?5つのポイントを解説
1.リスクの大きさ
ここからは、定期預金と投資信託の違いを見ていきましょう。
1つめの違いは、リスクの大きさです。満期解約の前提において、定期預金は元本割れのリスクがありません。
しかも預金保険制度の対象ですので、万が一金融機関が破たんしても、元本1000万円とその利息が守られます。
一方、投資信託は元本割れのリスクがあります。
複数の銘柄に分散してプロが運用するため投資の中ではリスクが低いとされていますが、運用の結果として損失がでる可能性は十分に考えられます。リスクの大きさでいえば定期預金のほうが小さいといえますので、少しもリスクをとりたくない方は定期預金を選ぶほうが安心です。
もっとも、投資信託は「販売会社」「運用会社」「信託銀行」の3つの機関が分別して運用に携わっており、各機関が破たんしても投資信託財産は守られる仕組みになっています。元本割れのリスクとは別の話ですが、定期預金と同様に機関の破たんには対応できるということです。
2.手数料の有無
2つめの違いは、手数料の有無です。
定期預金に預ける際、基本的に手数料がかかりません。途中で解約するときにも、解約手数料はないのが一般的です。途中解約のペナルティは適用利率の変更という形で課されることになります。
もっとも、一般の定期預金とは異なる特約が付与されている「新型定期預金」と呼ばれるタイプの場合、解約手数料が発生することがあります。
いっぽう投資信託は、「販売手数料」「信託報酬」「信託財産留保額」という3種類の手数料がかかります。
販売手数料は買付(購入)手数料ともいい、投資信託を購入するときに1回だけかかる手数料です。購入金額の1〜3%かかるものが一般的です。
信託報酬は、その商品を保有している間継続してかかるもので、管理費にあたります。純資産総額の0.5〜2%程度かかることが多くなっています。
信託財産留保額は、解約時にのみかかる手数料です。投資信託によって異なりますが、一般的には基準価格に対して0.1〜0.5%程度ほどが差し引かれる形になります。
ただし、投資信託の中には、販売手数料が無料の商品や、信託報酬も0.5%以下とそれほど負担が大きくない商品は多く存在します。
特に投資が初めての方は手数料ができるだけ低い投資商品を選ぶとよいでしょう。
3.リターンの大きさ
3つめの違いは、リターンの大きさです。
定期預金は満期まで預けることで利息というリターンを得られますが、その金利は大手で0.010%程度ですので、わずかな利息にとどまります。
この金利で1年間定期預金に預けても、単純計算で100円しか利息がつかないことになります。
金利面で有利なネット銀行の定期預金でも0.15〜0.20%が相場なので、100万円預けて2000円程度の利息と、資産を増やすという意味では少々物足りません。
投資信託のリターンは選んだ投資商品の運用成果によりますが、利回り3〜4%での運用が見込めるものが多くあります。
あくまでも単純計算ですが、100万円を投資信託で運用すると年に3〜4万円のリターンを得られることになり、定期預金とは格段に違うことがわかります。
積極的にお金を増やしたい方は、投資信託も含めて検討する余地があるでしょう。
4.運用の目的
4つめの違いは、運用の目的です。
定期預金も投資信託も資産運用の一種ですが、その目的が異なります。
定期預金はとにかく安全に、資産を守るのが目的です。
今は使わないけれど何年か後に使いたいお金がある場合などに適しています。
たとえば3年後に結婚式を挙げたい、5年後に車を購入したいなど、近い将来に使う予定がある方はよいでしょう。
お伝えしたようにかなりの低金利ですので、利息には期待できず、増やすことにはあまり向いていません。
一方、投資信託は、元本割れのリスクを許容しつつ、積極的にお金を増やすことが目的です。
投資商品である以上、価格は変動しますので、それに一喜一憂せず、20年、30年といった長いスパンで運用することが前提となります。
当分使う予定のない余剰資金を投入することになるため、老後に備えて資金を貯めたい方にも向いています。
5.まとまった資金の必要性
定期預金は、まとまったお金を一括で預け、満期までは引き出さないことが原則です。
10万円から預けられる金融機関もありますが、一般的に50万円以上は必要になります。
したがって、現在貯金がゼロの方は選ぶ余地がありません。
投資信託の場合は、特にまとまった資金が必要という性質ではありません。
もちろん、一度にまとまった額で購入することは可能ですが、少額だけ購入したり、毎月一定額を積立購入したりできます。
ネット証券であれば500円や1000円程度からの購入が可能で、最近では提携サービスと紐づけてカードのポイントで購入できる場合もあります。
ポイント投資であれば投資にかけられるお金がまったくない方でも始めやすいでしょう。
飲み会を1回だけ我慢して、その分を投資信託に充てるといったこともよいかもしれません。
- リスク
- 手数料
- リターン
- 運用目的
- まとまった資金が必要かどうか
定期預金と投資信託はどちらがよいの?
定期預金も投資信託も、それぞれにメリット、デメリットがあるため、一概にどちらがよいと断言できるわけではありません。ただし2つをバランスよく利用することで、リスクを軽減させつつ利益も得られやすくなります。
資金を全額定期預金に入れておくと、見た目のお金が減ることはありませんが、今の利息ではほとんど増えないため、インフレになればお金の価値自体が目減りしてしまいます。
たとえ100万円をまるまる預けておいても、これまで100円で買えたものが150円払わないと買えなくなる時期がくれば、実質的にはお金が減ることになるのです。
とはいえ少し先の目標や万が一のリスクに備えるためには、いくらかの現金は確実に残しておきたいため、定期預金もある程度有効です。
宝くじつきやポイントが貯まるものなど楽しみながら預けられる定期預金もあるので、利息はあまり気にせずに、とにかくしっかり貯めるのも決して悪くありません。
一方、投資信託は堅実に運用すればお金がしっかり増えていき、インフレリスクにも対応できます。
しかし元本割れのリスクがあるため、資産の全額を投資信託に入れるのは安全とはいえません。
そこで余剰資金のうち、一部を定期預金に入れて少し先の予定に備え、残りは投資信託で多少のリスクをとりつつ運用するというふうに、バランスよく利用してリスクを分散させるのも、おすすめの考え方です。
まとめ
- 元本割れなしで普通預金よりちょっと高い金利がほしいなら、定期預金
- 元本割れリスクありで年利数%のリターンを求めるなら、投資信託
なお、「FX」や「株取引」、「先物取引」などといったさらに短期的にリターンを稼ぐやり方もあるのですが、リスクもその分増大するのでこの記事では取り上げませんでした。
ご自身が今いくら貯められているのか、何を目的で貯めているのかによって、どちらが適しているのかは異なります。
中期的な目標がある方は定期預金に入れ、将来のためにお金を増やしたい方は投資信託にするなど、上手に使い分けてみましょう。