貯金

20代はいくら貯金すべき?平均年収から考察!

統計庁から見る、20代の収入の現実

統計庁の調査方法が、不思議と最近がらりと変わったので、平成28年度の『国民生活基礎調査の概況』が、今回のテーマに絡んだ一応のデータとなります。

今回は、基本的に世帯と言うよりも、20代労働者をターゲットに解説しますので、単身であることを前提としています。

参考URL
平成 28 年 国民生活基礎調査の概況

この参考文書の、世帯主の年齢階級別の所得の状況という部分が、それにあたり、日本の法律では世帯主とは『その家の収入の主たるもの』とされているので、29歳以下なら、家族持ちだろうが、単身だろうが、平均年収という解釈になります。

お役所の文書は少々理解しずらいですね。

この資料によれば、20代つまり、29歳未満単身の場合は平均年収184万円であることがわかります。

ちなみに”所得”とは控除後の金額とされているので、毎月の給与から天引きされる年金保険料や健康保険料、交通費は含まれません。

つまり『手取り』です。またデータでは、一部の県が除外されているので、あくまでも参考ですね。

また人口比率からすると、平成30年(2018年)で20歳から24歳までが624万人、25歳から29歳までが625万人、約1,250万人くらいだとなります。

参考URL
平成30年2月報 人口推計

それにしても景気が緩やかに回復しているといわれている割には、平均年収184万円は結構衝撃的ですよね。この理由も今回は分析します。

20代の人口は本当に減ってるのか?

現在の平成31年時点で、25歳を中心にした場合、生まれは1994年ですから、大卒で就職する場合、大学卒業は22歳、大学院修士は24歳、博士は27歳なので、通常の多くの学生は22歳前後で就職していることになります。

つまり2016年〜2017年の間ですね。これはもっと細かく調査されているらしく、参考にしたデータは『政府統計の総合窓口 e-Start』からになります。2017年度(平成29年)でみると、20歳〜29歳平均が123万人で推移しているので、20代合計1,230万人で、前述の調査が1年前ですから、減ってるのは確実ですね。

参考:統計で見る日本

つまり10万人減ったと考えると、0.008%の所得データが自然消滅してますから、仮に初任給・昇給が1万円上昇していたとしても、大卒初任給が控除前206万円(平成29年/2017年)ですから、会社が新卒に払う人件費は減った分、相殺されているでしょう。

実際、前年度比、0.3%の初任給上昇率です。当然、低いように感じる20代の平均年収には、こういった背景があります。

参考URL
平成29年賃金構造基本統計調査結果(初任給)の概況:1学歴別にみた初任給

20代が貯金しづらい理由とは?

ここで、ようやく今回のテーマに繋がりますが、少子化で人口が減ると、世帯収入はその分減りますよね?例えば、家族4人で成人した子供が自宅で暮らして、家に給与の一部を生活費で支出してくれているなら、総人口が減っても世帯数が減っただけで、世帯収入はむしろ高めになるはずです。世帯主の親の年収が平均年収以下だとしてもです。

しかしながら、現在地方の若者の土地離れは、データを出すまでもなく、過疎化の要因になってるのは皆さんご存知でしょう。つまりは、20代で親と暮らす場合は、『仕事も景気も共に地方と都心部で所得格差がない場合に限る」となるわけで、生活を支えるだけの仕事が無く、親と同居をしない場合は、多くは故郷を離れて都心部へ就職口を求めるしか手段が限られるということです。

しかし、都心部の家賃はワンルームでも地方より高く、しかも現代は保証人がいないと単身一人暮らしは難しいのが現実です。この場合、当然その親が保証人となりますよね?保証人不要で部屋を借りられる場合でも、家賃滞納ではすぐに追い出される世の中です。

筆者自身は、20代から平成21年までは一人暮らしをしていたので、都心から郊外で1時間圏内なら、ワンルーム5万くらいで暮らせますが、これが少し東京に入った時点で、2万〜3万は家賃は跳ね上がります。正直、食費など20歳では自炊のスキルもおぼつかないので、食事は出来たものを買うとか、安い外食になります。平均1日の食費は、800円✕3食で2,400円、ひと月労働日数は基準を満たせば22日なので、食費だけで約5万3,000円は必要、これに家賃5万を加えて合計10万となります。当時の新卒平均年収も、わずかに今より高いくらいですから、景気が良かった時代は物価が高いというのもあります。

ネットなどは、安くて月6000円だとしても、光熱費は極暑や厳寒期となれば、月1万くらいは必要なので、生活費は少なく見積もっても、毎年144万円かかるわけです。『平均年収184万円(手取り)』、ここから割り出すのは酷ですが、年40万弱の自由な費用、これは1日1,000円ギリギリ使えるかどうかです。

そもそも”自由に使えるお金”は貯金に回せないワケ

投資の経験がある方ならよくご存知だろうと思いますが、貯蓄性の高い金融商品やサービスには、『使う目的がないお金を入れる』のが原則です。

従って、自由に使えるという意味では、『雑費は貯蓄に回すべきではない』というわけです。

実際、この”1日1,000円貯金”をした場合、たしかに年間36万円貯金していることになりますが、少しでも目的が発生した出費、例えば家賃の更新とか、引っ越しとかあるなら、この貯金はすぐに消える可能性の方が極めて高いです。

要するに、20代の平均年収で貯蓄を考えるよりは、生活基盤を確立させ、必要なスキル(自炊や家事など)を磨くために、自分に対して”投資”をする方が賢い選択でしょう。

少なくとも、負債を抱えてしまうリスクを避けることが出来るからです。

20代は決して債務を作るな!

奨学金制度が変わって、日本育英会から従来の制度が廃止され、独立行政法人日本学生支援機構で一括して借り受ける、いわば純粋な『借金』となりましたが、これが債務としてはかなり大きなものでしょう。しかしながら、例え大卒で就職して有利だとしても、これまでの解説を読めば、貸与型奨学金はかなり危険な賭けと同じですね。JASSO(日本学生支援機構)によると奨学金(第二種※金利付き)を借りた人の平均借入額は340万を超えています。

1日1,000円貯金年間額の、約10倍ですよね?最短で22歳から返したとしても、9年はかかって年齢は31歳、平均年収からして、その頃には手元には何も残ってないわけです。ちなみに『平成30年度貸与利率一覧』を見ると、金利は最高0.33%ですから、10年返済で340万借り入れで、返済総額は『345万6,840円』です。

これって、自分の収入の中から捻出するわけですよね?私は個人的に、ギャンブルみたいなだなと、正直思いますね。貯金スタート時から債務が無いのは、基本中の基本ですからね。平均年収がデータの倍になるのは、限りなく大企業に入れた高学歴に限るでしょうから、結局は親の世帯収入次第なわけです。それにしても20代からこんな多額の債務を負うだなんて、親も子もちょっと気の毒です。

20代の貯金はどうしたら良いのか?

平均年収の話から、だいぶ悲観的な論調になりましたが、少し救いがないとこの記事を読む気力も失せるでしょう。ですから、貯金の具体的な仕方をアドバイスします。

まず学生から債務を負っているなら、自分の家族も含めて学生時代はアルバイトで収入を得ることです。時給800円で4時間労働でも、20日働けば月6万4,000円です。それを大学在学中4年間でしてきた場合、307万にはなるわけです。290万でもダメで、債務は限られた期間内で資金を集め、金利をあまり払わないのが正解です。だったら、大学近くのボロアパートでも住まいは良いわけで、通学に支障のない近距離で働けば良いとなります。

債務が消えたら、そこからは”自分に投資”です。

つまり自活のスキルを磨くことですね。一定の収入がありますから、ボーナス一括で家電を買うのも良いし、中古家電を探すのも良いです。『出来合いの飯はできるだけ食わない』というつもりなら、食費月約5万3,000円は必要ありません。結構切り詰めても、約3万あれば、3人家族3分の1分より、よほど贅沢な食生活になります。

この約2万3,000円を毎月貯金に回した場合、3年で82万で、25歳で100万貯金はカンタンな話となります。

この方法、実は有名なIT企業創業者が実際にやっていたのは有名です。

最もその方は大学中退でしたが、在学中に、既に仕事をしていたのは同じです。ここでもスキルがその後に活かされています。

ただ、スキルを磨く時間が必ずあることが重要なんですね。

貯金はルーティンである

「日課」などの意味の英語で、ルーティンワークのルーティンですが、貯金はまず無意識にやれることが最大の手段です。

つまり、収入がそのまま口座に振り込まれたら”自由に使えない”ようにするわけです。

端的にいえば定額貯金とか、定期預金なのですが、数百万の金利をこの超低金利時代に期待しても不毛なので、通帳は複数持つべきですね。

それと一つの金融機関で複数持つべきです。『それって出来ないんじゃないの?』と思うでしょう。

そこで、家族に尋ねて家族と違う自分の金融機関に口座を作ってもらいます。

それを自分で所有していれば良いんですね。当然暗証番号も知ってる事が前提です。

今はオレオレ詐欺や振り込め詐欺などを防ぐために、各金融機関は”お1人様につき1口座まで”ですが、そもそも家族の名義の口座に振り込んでるだけなので、何も問題はありません。

それが無理な場合は、定期預金や定額貯金を選んでそこに自動振込を設定すれば良いですね。

つまり同じ金融機関に『普通預金』と『貯金用定期』を持てば良いわけです。私は学生時代から、国債にお金を預けていました。少し利子が良い貯金のようなものですからね。ゆうちょの窓口で簡単に申し込めます。

20歳の貯金、”目的の無いお金”はどうする?

『自分のスキルのために投資した』ことや、『債務は既に消滅した』のなら、まとまった貯金は『資金』に化けます。

20代のあなたは、以上の手段を忠実に守れば、資金管理のスキルはもう得ていると言えます。

生活は『維持と生活費』なら、これは事業運営コストです。数百万のお金は『運用資金』です。

これはあくまで筆者の場合ですが、この『運用資金』で、何をしたかは単純明快です。

既に国債に手を出していたので、半分は日本国債、半分は米国債を買い、収入の一部をそこにつぎ込んでました。

『国債は原則、元本が減らない』、少なくとも銀行預金よりは利息(金利)はちょっとは高いんです。

日本もアメリカも当分の間は、国家の債務不履行、”デフォルト”にはならないでしょう。だったら、『国にお金を貸すなら安心だ』というわけです。

借金返済する側は、債務期間が長ければ長いほど金利を支払うことになります。奨学金の例では、10年で5万6,840円を余計に債権者に払うことになりますが、お金を貸した方は勝手にこのお金が口座に自動で振り込まれるわけです。

つまり奨学金のような割高の金利がつかないにしろ、貸す金額が増えれば増えるほど、働く事なしに、収入が得られます。

これがお金がお金を生む”目的の無いお金”がお金を作るシステムです。

しかも合法、誰もが出来る簡単な手段です。お金が生み出した『自由な金』を増やせば、それこそ自由は手にできるじゃないですか?だから、”目的の無いお金”を浪費に回す人にはお金は消えるだけで、何も残らないのです。

物やサービスはいずれは壊れるか更新されて失われますからね。限られた平均年収から、簡単なスキルを磨いただけで、10年後の未来はこうも違うんです。

まとめ

20代の貯金について、平均年収を合わせて語るなら、ついでに生活についても詳しく解説したいと思っておりましたが、ちょっとあまりに長い話になるため、これは他の機会に回すとしましょう。

今回のテーマでご理解していただきたいのは、”若い内から債務を借りっぱなしで、返済後回しは最悪”ってことと、収入が一定の安定をしている時点で、”すぐに貯金は取りかかれ”ってことです。若年の年数は限られています。

若いうちにサボるか、それとも余裕は後半の楽しみにしておくか、どちらを選択するかの違いですね。ちなみに世の投資家達は、皆これを全てやりつくしています。